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「ダーク」桐野夏生


ダーク (上)(講談社文庫)
(2002/10)
桐野 夏生

★★★★☆

徹底的に救いがない。
全員が理性を失い、悪になり、
しかも納得できないまま
終わってしまう事態が多すぎる……。

桐野夏生の本は
常に粘りつく居心地の悪さを感じることが多い。

知らないうちに自身の中身にキズをつけられて、
そのまま立ち去られた感が残ります。
読後ホントしんどいwww

ダークは本当に…酷い話でした。
「柔らかな頬」よりも酷いかもしれない…
ひとに勧められない本です。

でもこういう本ってほかにないとも思い、
この人間くささがクセになってしまうのです。
自分よりも汚いもの見たさのような、
しかしそれを読み続ける自分も汚いような、
なんだか延々と暗く深く中身に落ちてっちゃう感じでした。

こんな人が主人公なのも嫌w
女って気持ち悪いなーとかも思う。。
力が弱い分、計算高い。

久恵なんて特にそう。
たまに自身の弱さを武器にして、可愛げがない。
ミロも大概可愛げがないけどww
裏で何考えてるか分からなくて、気持ち悪いです。

実際に希望を失った人って
こんなに能動的になれない気もするのですが…、
特にこのような場合は……わたしは無理。

だけど、ソに関わってからのことだけとれば、
ああ、こういう気持ちにはなるだろうとも思います。
受動的な愛情が能動的になるとかね。

只、ミロは大切なところで短絡的すぎないか?
それが可愛いところなのかなー?
そこがとても気になりました…

とはいえ、
こんなに感情をえぐるような小説も本当に稀有なことと
ソの過去の描写がとても心に残ったこと、
「本当に残酷な存在」について描かれていることが
わたしにとってとても好きなところでした。

今回、ミロシリーズを続けて読みました。
「頬に降りかかる雨」を持っていたので再読し、
図書館で続編を借りて行ったのですが
「天使に見捨てられた夜」を読んだあと今作に飛んでしまいました。
(調べて借りたのですが、その記事が違っていました…)

「水の眠り灰の夢」「ローズガーデン」は未読です。
でもこれ読んだあとだと、うーん、ってなっちゃいますね。。

ちなみに、わたしはいま31歳になって数日ですが
死に向かおうって気持ちは凄く分かります。
友人は自死してるし、家族が病死してるけどなおそう思う。

自分で選択する死は魅力的。

暗い気持ちではないのですが、
私が今生きてるのって、親が責任を果たしただけなんですよね。
「結婚する」「子を生む」ってゆー。

当時はそれをしないと生きづらかったと思うけど
それが薄くなってきた今、
子を生むってどんな意味に変わってくのかなー。

まあそれは置いておいて、
ミロにも久恵にも友部にも罰を受けて欲しいです。
大人は怖いと本当に常々思います。

顔に降りかかる雨 (講談社文庫)





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「絹と明察」三島由紀夫

絹と明察 (新潮文庫)絹と明察 (新潮文庫)
(1987/09)
三島 由紀夫
★★★☆☆


私は三島の表現力が狂おしい程に好きです。

特に金閣寺が秀逸だったと思うのだけど、
今回読んだこの本では、夜、
遠く長く響いて渡る鐘の音が好きでした。
空気の振動、伝わってくる揺れ、耳に入る音、
響き方、感じ方、物理的な印象を持って感じるその存在。


最近読んでいた三島作品の、
ひたすら内面に向かっていたものと比較すると
とても人間的な小説だった気がする。
潮騒に似た雰囲気かと思う。
恋愛、経験、受容、許容、拒絶、思想、そのようなものたち。


誰の味方をしていいのか、最後まで分からなかった。

ある人物が牛耳っているような世界観で描かれた世界で、
人々はそれぞれに考え、奔走し、行動をするのだけど
そうであるはずもない。人間はそれぞれ打算と計算をしているもので
思い通りにはいかないんだ人生なんて。

誰の味方でもないまま終わった。
だけど最後が気持ちよかった。
ふふ、って笑える感覚。
終わらない、終わらせない、まだまだ。

ここは誰かの世界じゃない。
みんなの思想が渦巻く世界。
そこであなたは何が出来るのか?

こんな終わり方はとても好きだった。
皆が皆を欺いている。
そうして構成されているこの社会は微妙なバランスで
だけど崩れることもなく
それぞれが配慮をしながら均衡が保たれる。

誰かが誰かを蹴落とす。
誰かが誰かを思う。


今まで読んだ三島作品とは
少し毛色が違う気がしたけれど、悪くなかったです。

駒沢善次郎は
どんな人生だったのか、
語られなかった昔の部分が気になる作品でした。
 

「沈める瀧(滝)」三島由紀夫

沈める滝 (新潮文庫)沈める滝 (新潮文庫)(FC2)
(2004/04)
三島 由紀夫

★★★★☆

すこし、お久しぶりですね。
いかがお過ごしですか?

私はIBSと闘いながら、助手生活を続けています。
最近ようやく新入生とも打ち解けてきたみたい。えへへ。
不甲斐なくて先生に迷惑かけてばかりですが
小さなことを幸せだと思えるように、生きています。
生きることだけ、がんばっています。



さて三島由紀夫。
「潮騒」「金閣寺」「禁色」に続いて多分4冊目かな?
久しぶりに読みました。
あの遠まわりで鮮烈な色彩表現が欲しくて。

この本を選んだ理由は特に無かったけど、
私はとても好きな本でした。
三島さんのせかい。
静かで静かで静かで重くて
その中にときどき見つける感動や人間性。

自分が生きるせかいの外で、始終変化しているせかい。
意識するものと意識しないもの。
見えるものと見えないもの。
時間の流れ。
自分への気付き。

閉じ込められた環境の中で概念化していく恋人や、
人間の力の及ばない、大自然が揺らす人間の情動。
少しずつ変化していく精神。身体。

季節の変化は本当に感動的だったーーー!
潤いを増す雪、温もりを蓄える窓。
雪の重さに耐えていた枝が一気に空に伸びる。
氷柱が落ちて穴を穿つ。


すごく面白かった。
三島さんの、想像力をかきたてる描写が心底好きです。
石と鐵(鉄)で遊んだ主人公が
自嘲しながら石と鉄を愛し、
感覚を遠ざけたように生きていく様とか…

ああ、次もまた三島作品を読もうかなー。
 

「五郎治殿御始末」浅田次郎


五郎治殿御始末 (新潮文庫)五郎治殿御始末
(ごろうじどのおしまつ)
浅田 次郎
2009/04/25

6つのお話が入った短編集。
すべて、明治維新直後くらいの時代です。
突如変化した(させられた)国、政治、様相、文化のなかで
武士としてそれをどう捉えるか、どう生きるのか。

薩長に倒幕されて藩を失ったひとたちのおはなしですが、
決して薩長が悪いとかいってるわけでもないです。

私は歴史がほんっとーーーにダメで、
本当に必死で勉強したのに赤点ばかりでしたが
浅田次郎のおかげでようやく少しづつ分かってきました…。


タイトルである「五郎治殿御始末」は最後に収録されています。
これは、嫌いじゃないんだけど、
入り方があまり好きではありませんでした。
けれど曾祖父の強さと優しさが心に残る、いい話。


一番好きなのは「箱館(はこだて)証文」かも。
途中ですこし笑っちゃうんだけど、落とし所がとてもうまくて
ああ、きれいだ って思った。


石榴(ざくろ)坂の仇討ち」も良いです。
これ評判いいけど、うん、いいです。
背負うもの、帰属場所、自身の根底にあるものが何か、
とても苦しい状況でも生きていかなければならない人間が
どのように咲くのか、または、咲けるのか、と、考えます。


登場人物に人間味があっていいですよね、浅田次郎は。
いつも安心して読めるなあ。
もう一度ラブレターを読みたい。
でも実は彼の本では時代ものが好きかもしれません。
武士ってピンとしてて、ホントホント、格好良い。
 

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
(1997/09)
村上 春樹

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ご無沙汰しています。
秋学期で助手の仕事も再開し、
また片道2時間の通勤が始まりました。
ということで最近読んだ本。

ねじまき鳥クロニクルを再読。
1Q84効果なのか、なかなか借りられなくて
3冊終わるのに3ヶ月かかりました・・・

前回読んだとき(当時18~20歳)よりも面白かった。
前回はまだ村上春樹に慣れていなくて
出口の見えない緩い流れがツラかったんだよなー。
色々な要素は散りばめられているし。

でも中核の要素はやはり覚えているもので、
今回はより楽しんで読むことができました。
綿谷氏との緊迫感もいいけれど、
私は内面を見ているときの静けさが好き。
そして繋がるクロニクル。

長くてちょっと把握しにくい部分もあるんだけど、
いつかまた読もうと思う。
 

「憑神」浅田次郎

憑神 (新潮文庫)憑神
(FC2)

★★★★☆

2007/04
浅田 次郎

気負わず何かを読みたいとき、
私には浅田次郎がとても合う。
人間味があって、きちんと感情に触れる。

この本の舞台は幕末の日本だけど
感覚的には現代に通じる部分もあって
やるせない時代の流れが感じられます。
いまもそうだよね。
抗えば抗うほど苦しい。

主人公の生き方、考え方、信念、
そういうものに心動かされる本でした。
かっこいいよ!
開国派も!!
徒花だって輝けるんだと、信じましょうよ。

映画にもなっているみたいです。
主人公は妻夫木くん。
もちょっと大男のイメージがあったけど、
まあ雰囲気は良いかもしれない。
 

「月光の東」宮本輝

月光の東(新潮文庫)月光の東
(FC2)

★★★☆☆

2003/02
宮本 輝

おとなの本・・・。
ふとしたときに感じる望郷とか
そのなかに在る大切な感情だとか
いまになって分かる信実だとか
切なくて、やり直しようもなくて、
だけどそれが良かったんだとも思えて、
ゆっくりと過去を受容して自分の未来に繋げていく感じ。

私にはまだよく分からない気持ちもあるように思った。
けれど読んでよかったです。
またいつか読み返したら、
すこし違った印象を受ける気がします。

前半はあまり動きがないから読むのはちょっと時間かかりました。
後半は面白い!
よく書かれているけど、ミステリーちっく。
謎解きのような感覚があります。
でも解けたからって嬉しいだけじゃないのがいいところ。
 

「手紙」東野圭吾

手紙手紙
(FC2)

★★★★☆

2003/03
東野圭吾

人気があるようなので、東野圭吾を読んでみました。
これが初。
図書館にいっぱいあったからたまたま読んだ本。

よかっ、た。

それぞれの道。
自分が見出した道。
自分の命の意味。

それが結果としてどうなるか、ってのは
いろんな要素がからんでくるもので
しかも身近な人にも影響を与えるもので
それを予測するのは難しいんだろうな。
や、難しい。決定的に。

だけど、ね、
自分の信念に基づいたならいいじゃないか。
そう思える本。

誰に 認められたいのか。
誰に 赦されたいのか。
 

「重力ピエロ」伊坂幸太郎

重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ
(FC2)

★★★★☆

2006/06
伊坂 幸太郎

清々しい。
いや、命題は重いけど気持ちよくまとめてある。
相変わらず、人物像がステキであります。

ちょっとね、ちょっとね、
伊坂語に慣れてきてしまったので
そのぶん感動が薄れているのですが
登場人物たちの描写力が最高。
人間こうでないとね!って思う。いつも。

文学というほどの壁がなく、
かといってすぐそこにある日常でもない。
なんとなーく、浅田次郎に似たものを感じるかも。。
彼の本を読むと
すこしだけ人間を好きになります。
そういう意味で清々しいのかなー・・・?
なんかね。すっきりする。

ただ、ミステリとしては浅い気もするー。。
表面はとても面白いのだけど
裏切りの展開に欠けたのでは・・・・・・?
なんて記事あまり見かけないんだけど
そう思うのは私だけなのかしら・・・

あーしかしこの家族は良かったなあ。良いよーーー
映画も見たいー。
人間は弱くて悩んでそれでも味方がいるもんだ。
 

「声だけが耳に残る」山崎マキコ

声だけが耳に残る声だけが耳に残る
(BK1FC2)

★★★★☆

2004/02/24
山崎 マキコ

前回に続き初挑戦の作家。
男気あふれるかんじの女子が主人公で、
なんだか気持ち良い。

人間ていつのまにか病理抱えてんだよね。
それに気づかなくても歩いていけるけれど
気づいてからのほうが息苦しさは増す気がする。
そしてそんな人間が
どのように生き抜いているのかを垣間見れる本。
もちろんほんの一部だけども。

ここにある残虐性や憎悪はなんとなく分かる。
でもちょっと納得いかない面もあるかなー
まあそれは仕方ない。

精神疾患の仲間のひとりとして読めた。
それ以外のひとにはどう見えるのかよく分からないけど
私にはなかなか爽快でした。
 

かいてるひと

こも

こも (como)
フリーデザイナー。
少しだけプログラマー。
DG:flash.web.graphic
PG:as.php.perl.js.c
院卒28歳、めがね好き。
FC2プロフ

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