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「アンダーグラウンド」村上春樹

アンダーグラウンドアンダーグラウンド
(FC2)

★★★★☆

1997/03
村上 春樹

考えさせられる、という視点で★4つ。
地下鉄サリン事件のインタビュー小説です。
小説ではありませんが
純粋なインタビューでもないと思う。
というのは、彼独特の言い回しが
ところどころ繰り返されていて
全体の色調がまとまっているから。
純粋なインタビューならばこうまとまらないんじゃないかと思う。

(wikipedia参照:地下鉄サリン事件松本サリン事件

対談形式ではなく、
読みやすさに配慮してか
語り口調ながらもするする読めるように構成されています。

地下鉄サリン事件の被害者が、
あのときどう思ったか。
何を見たのか。
実際の光景とはどんなものなのか。
そういう事実が、
各自の認知を通してですが
いや、多分だからこそ、
生々しく伝わってきます。

症状の軽い人も思い人もいる。
でもそれは
人間性の差ではなく
社会性の差でもなく
なんらかの決定的な差異があるわけでもない。
ただ偶然、
サリン電車に乗り合わせてしまって
そのときの風の方向や位置関係によって
実に様々な影響を与えていました。

想像するだけでも壮絶な光景なのだけど
みんな、それが何を意味するのか分からない。
混乱する中央。(救急、警察等)
来ない救急車。
目の前で倒れたままの人々・・・・・・。

成す術がない。
恨む相手も分からない。
というか、まず、理解ができない。これは何?

私の実感として、
若い世代は
あまり責任を他人に押し付けない気がする。
その分かえって 自分に責があると思ったりもするのだけど

全体としてオウムに対する感情は
「絶対に極刑」もしくは
「よく分からないが責任を果たすべきなのでは」
という2種類に大別できると感じています。

極刑だというのは、割と高齢者に多い。

たぶん社会の、環境の、違いなんだと思う。
私達(若い世代)は個性を重視されて育ったから・・・・・・
そういう人がいることも認識している。

昔の人たちは、
社会的不適合者は病人として隔離されたりして
一般に受け入れられることはなかったんだろうな。

人間じゃないのだから、
人間の法律をあてはめるのはおかしい。
そういう文章が 印象的でした。

昔の人は一途だ。
若い人たちはその責をどこにぶつけるでもない。
ただ、実感として在る不調を受け入れて戦う。

私が面白いと思ったのはそのへんでした。
あとは個人の認識の差こそあれ、
大抵そのとき駅で起こった事実についてのお話でした。
同じ電車に乗っていたひとたちは
だいたい似たような認識をしています。
たまに頭のとても良い人もいたけれど。

けっこう分厚い本ですが
中身は延々とインタビューです。
べつに飽きることはないのだけど、
村上春樹独特の言い回しが多用されていて
その新鮮さを失っていったのが残念。

でも興味深い本です。
1度は読んでおいていいと思います。
(作るのも大変だっただろうなあ)

私は一度命を落としかけてるし
日常のなかで突如起こる事件にも遭遇しているから
いつも「いま死ぬかもしれない」って思って過ごしてるけど、
そういう、
命に対する執着というか
幸せな時間を大切にしなくてはとか
そういう気持ちになると思います。

最期の、和田さんの話はすごく苦しかったです。

そう、
本当に苦しいのは残された人なんだよね。
だから私は
そのために死ぬことはできない。
ちゃんと生きなくては、って思います。
 

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こも

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