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「絹と明察」三島由紀夫

絹と明察 (新潮文庫)絹と明察 (新潮文庫)
(1987/09)
三島 由紀夫
★★★☆☆


私は三島の表現力が狂おしい程に好きです。

特に金閣寺が秀逸だったと思うのだけど、
今回読んだこの本では、夜、
遠く長く響いて渡る鐘の音が好きでした。
空気の振動、伝わってくる揺れ、耳に入る音、
響き方、感じ方、物理的な印象を持って感じるその存在。


最近読んでいた三島作品の、
ひたすら内面に向かっていたものと比較すると
とても人間的な小説だった気がする。
潮騒に似た雰囲気かと思う。
恋愛、経験、受容、許容、拒絶、思想、そのようなものたち。


誰の味方をしていいのか、最後まで分からなかった。

ある人物が牛耳っているような世界観で描かれた世界で、
人々はそれぞれに考え、奔走し、行動をするのだけど
そうであるはずもない。人間はそれぞれ打算と計算をしているもので
思い通りにはいかないんだ人生なんて。

誰の味方でもないまま終わった。
だけど最後が気持ちよかった。
ふふ、って笑える感覚。
終わらない、終わらせない、まだまだ。

ここは誰かの世界じゃない。
みんなの思想が渦巻く世界。
そこであなたは何が出来るのか?

こんな終わり方はとても好きだった。
皆が皆を欺いている。
そうして構成されているこの社会は微妙なバランスで
だけど崩れることもなく
それぞれが配慮をしながら均衡が保たれる。

誰かが誰かを蹴落とす。
誰かが誰かを思う。


今まで読んだ三島作品とは
少し毛色が違う気がしたけれど、悪くなかったです。

駒沢善次郎は
どんな人生だったのか、
語られなかった昔の部分が気になる作品でした。
 

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こも

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