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「潮騒」三島由紀夫

潮騒潮騒
 
★★★★☆
 
1955/12 三島 由紀夫

主人公がとても格好いい。
冷静でたくましい。
冒頭で語られていた学校の成績はほんとに酷いようだったけど
海に出たら本当に格好いい。
完成された芯の強さを感じます。
多分、17~18歳。
 
三島由紀夫の本は初めて読みました。
きっかけは先日の記事
この本は彼の本としては異色らしいので、三島由紀夫についてはよくわかりません。
でもなんというか、現代には無い種類の本だと思う。
 
初江との出会いのシーンもよかった。
健康的な、海で暮らす人々の描写がよかった。
儚さというものは其処にはなくて、だけどどこか神秘的。
 
だけどこの本の一番の魅力は、広がりをもった音や、風や、においや、色だと思う。
こんなに周囲の雰囲気がありありと浮かんでくる。
風の様子や、強さや、それによってなびく髪、肌を撫でる感触。
五感に訴える小説というのは現代小説には少し欠けてるような気がする。
なんとなくね。
 
苦しいシーンもあったけど、なんだか希望を持ったまま読み進めることのできる本です。
最後はとても清々しい。
 
ただ、最後の最後、あの一文だけがひっかかっています。
どうしてあのような文章を入れなければならなかったのでしょう?
やっとたどり着いたのに、
それが男というものなのでしょうか。
三島由紀夫の男性像なのかしら。
私としてはあれはいらなかったんだけどな~w
まあいいけど。
 
美しい小説だと思います。
健全で純粋な恋のおはなしです。
 

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