触れ 色づきゆく

せかいを彩る要素たちのことを書きます。 本を中心に、生活雑貨、展示物、映画などについて。 ネタバレはしません。

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壬生義士伝・下
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★★★★★
 
2000/4 浅田 次郎

初めて読んだ歴史物。
新撰組のお話です。
 
私は新撰組に関してはよく知らなくて、
漫画ではその一角に触れたことはあるけど
実際的な歴史の流れとか、
社会的立場とかいったことはこの本で初めて知りました。
 
崇められてる新撰組が、こんなにも孤独だったなんて。
状況は切ないんだけど、一途に人間になろうとする姿が
とてもとても格好良かった。
たぶん誰しもが、自分の信ずる義や仁に従って
人間になるために生きてるんだろうと思うけれど
現代人はここまで貫く覚悟を持ってはいないですよね。
というか、必要がなくなってしまったというべきかな。
 
命をかけてまで必死に何かをすることなく、
安穏と暮らしていけるようになってしまった。
自分や家族の生命の危機というものは
遠いところに隠されてしまった。
 
それは文明の発展であり、または技術の発展であり、
そして人間性の欠落だと思っています。
本能の抑圧のうえに成り立つ、
清潔で簡潔で整頓されたようにみえる世界が、今。
 
この時代を生きた人達は命を削って生きて
本当に大変な苦労をしたと思うけれど
今みたいに、1と0とで様々な作業がなされてしまう時代に
私はそれを少し、羨ましいとも思います。
生命の実感や喜びも、相当減ったと感じるから。
 
 
この本は様々な視点から何度も歴史が掘り起こされていくので
歴史の苦手な私は頭を整頓するのにかなり苦労をして
読むのに時間はかかってしまったのですが、
読み進めるうちに明らかになっていく真実たちは
往々にして暖かくて心地良かったです。
 
勿論、かなりやるせないのですけど。
 
御組頭様や嘉一郎くんのくだりが特によかった。
小説ではあまり泣かない私が唯一泣いたのがここでした。
ふたりとも、ずっと男として生きてきたんだもんなああ・・
 
それから、個人的には斉藤一にかなり共感する。
人間に対する嫌悪感とか、あの偏屈さとかね。
それなのに最後のあの行動。男じゃないですかーーー!
あんなふうに生きてみたい。カッコイイ。
 
物語のラストに、こんなにも納得したのは久しぶりだと思う。
最後の声の意味や、
人物や風景に。
 
最後の漢文のような部分もいいですよ。
お互いの親密さが伝わってくる。
読むの大変だったけど、想いが凝縮されてた。
 
カフカ、オーデュボンに並んで★5つ。
 
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桜満 (おうみ)

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